さかなのこ ~笑って泣いて邦画の王道。さかなクンが苦手の人にも観てもらいたい

さかなのこ ヒューマン

あらすじ(公式サイトより)

お魚が大好きな小学生・ミー坊は、寝ても覚めてもお魚のことばかり。他の子供と少し違うことを心配する父親とは対照的に、信じて応援し続ける母親に背中を押されながらミー坊はのびのびと大きくなった。高校生になり相変わらずお魚に夢中のミー坊は、まるで何かの主人公のようにいつの間にかみんなの中心にいたが、卒業後は、お魚の仕事をしたくてもなかなかうまくいかず悩んでいた…。そんな時もお魚への「好き」を貫き続けるミー坊は、たくさんの出会いと優しさに導かれ、ミー坊だけの道へ飛び込んでゆくーー。

鑑賞情報&満足度

公開日 2022年9月1日(木)
観賞日 2022年9月18日(日) 11:50
チネチッタ チネ2 4割/129席

期待度★★★
物語★★★★
演出★★★★★
配役★★★★★
満足度★★★★★

監督、キャスト

監督:沖田修一(モヒカン故郷に帰る、横道世之介、南極料理人、子供はわかってあげない)
出演:のん(ミー坊)、柳楽優弥(ヒヨ)、夏帆(モモコ)、磯村勇斗(総長)、岡山天音(籾山)、さかなクン(ギョギョおじさん)、井川遥(ミチコ)

 

感想(ネタばれあり)

テレビでよくみかけるさかなクンの半生ということで、どうしたらあのようなキャラクターが誕生したのかを知りたくて鑑賞。
主演がのんさんということで、こちらも期待してました。
いきなりのまとめになりますが、とても良かったです。私の中ではこれまで観た邦画ベスト5に入ってますね。
前半は学生時代のエピソード。どのパートもコンパクトではありますが、すごく丁寧に描かれていてわかりやすい。この全てのエピソードが後半に活かされてきます。とは言っても無理矢理押し込んでいるわけではなく、ちゃんとストーリーとして成り立っているというのが脚本の妙です。
この縦軸が映画的によくできているので、139分と結構長めであるにもかかわらず、飽きることなく観ることができた要因ですね。
のんさんはもちろんのこと、柳楽さん、磯村さん、夏帆さん、岡山さんとどの方も素晴らしく、周りの成長物語としてもとても楽しめます。
その中でも高校時代の話は特筆すべきで、劇場全体が大笑いとなりました。
もう一つの縦軸は子育てについて。井川さんが演じられたお母さんは本当によかったです。理想論かもしれませんが、学校の成績がすべてではないと言い切り、子供の好きなことを伸ばしていくという姿勢はこうなりたいと思う多くの方々の共感を招くことになるでしょう。何が理由かはわかりませんがお父さんとは別離してしまうのはある意味リアルですね。
後半は社会に飛び出しからの話。周りになじむことができないまま、悶々とした日々を送るミー坊。数少ない理解者たちのおかげでやりたいことにたどり着くまでの流れは、現代の多くの人のあこがれかもしれません。だからこそ劇場まで足を運んだ多くの観客の心に響いていると思います。ある意味ファンタジーではありますが、のんさんの透明感と相まって心地よさを感じることができました。
監督の沖田修一さんはあまり多くの作品を手掛けていらっしゃらないようですが、どの作品も傑作です。特に「横道世之介」。こちらも浮世離れした感じがありますが、疲れた心に染み込む名作です。まだご覧になられていない方は是非ともこちらもお勧めします。
さかなクンが現在進行形の存在ですので、これといったオチがあるわけではありません。それでも最後まで楽しめる作品です。
9月18日時点で公開劇場数はかなり減ってしまったのがとても残念。子どもから夢をあきらめた大人まで多くの人に観てもらいたいです。
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