法廷遊戯~清義は後ろめたい過去を振り返ればもっと簡単に解決したのでは?

サスペンス

INTRODUCTION(公式サイトより)

法律家を目指す学生たちの模擬裁判<無辜ゲーム>から起こった悲劇。
「弁護士」「被告人」「死者」となった3人の秘密。
残酷で甘美であまりにも衝撃的な真実を、あなたは受け止められるか!?
本格法廷ミステリー小説「法的遊戯」がついに映画化!
法律家を目指すロースクールの裁判ゲームで起こった悲劇。
無罪を主張し「お願い、私を弁護して」とだけ話すと、一切口を開かない容疑者・美鈴(杉咲花)。
この謎の状況に翻弄される弁護士・清義(永瀬廉)だが、
これは死者・結城(北村匠海)が仕掛けた最後のゲームだった。
「ゲームのプレイヤーは貴方なの」の言葉をヒントに、裁判はマスコミも騒がす前代未聞の展開に!
そして暴かれてゆく封印されていた3人の秘密。王こまれた清義は究極の決断をするが・・・
最も神聖な場のひとつである法廷で待つ驚愕の結末は!

鑑賞情報&満足度

公開日 2023年11月10日(金)
観賞日 2023年11月19日(日) 16:10
109シネマズ川崎 シアター4 1~2割/152席

期待度★★★
物語★★★★
演出★★
配役★★★
満足度★★★

監督、キャスト

監督:深川栄洋(白夜行、神様のカルテ シリーズ)
出演:永瀬廉(久我清義)、杉咲花(織本美鈴)、北村匠海(結城馨)、戸塚純貴(藤方賢二)、黒沢あすか、柄本明(奈倉哲)、生瀬勝久(釘宮昌治)、筒井道隆(佐久間悟)、大森南朋(沼田大悟)

感想(ネタばれあり)

最近の映画って本当に公開前のあおりがすごすぎますよね。いつも見終わった後に、このあおりって逆効果なのでは、ってよく感じることがあります。作品は悪くなくても期待値を上げすぎて、結果的にガッカリパターンです。原作や出演者が持つ力だけでは不安なんでしょうね。
本作も正直そんなにあおらなくてもなぁ、という感じでした。
出演されている永瀬さん、北村さん、杉咲さんはどの方も雰囲気を持ったいい役者さんですよね。永瀬さんはどうしても役柄がどの作品でも似たような感じになりがちで、私からするとちょっと山下智久さんとかぶって見えてしまうのは残念です。
本作でも戸塚さんのトリッキーな感じはよかったですね。実際に近くにいたら嫌な感じを見事に演じられています。大森南朋さんの胡散臭さも相変わらずで素晴らしい。
さてストーリーについてです。
ざっくり言えば、結城が美鈴に殺された風の現場に、後から清義が第一発見者として立ち会ってしまう。そこから美鈴が清義に弁護を頼むものの、美鈴は一切語らない。清義は様々なピースを組み合わせ、過去に遡り真相を追い求めます。
はい、ここからはネタに踏み込んで書いていきます
結城の亡くなった父親は警察官で、痴漢の罪を被せられ、心を病んだ上自宅の庭で自殺してしまいます。これを発見したのは結城なわけです。そりゃ憎しみがこみ上げますよね。
結城自身、この痴漢騒ぎがあった現場にいて、美鈴や清義の姿を見ています。まぁ、この偶然はおとぎ話的ですければ、良しとしましょう。
父の自殺以降、結城による復讐計画が開始されます。本作での北村匠海は感情抑え気味で、何を考えているのかわからない空気管がよかったです。「君の膵臓をたべたい」でも前半は抑え気味でしたが、本作ではまた成長した感じを受け止められました。
後半、一気に物語が動き、美鈴が本当に殺したのか否か、ということで観ている者の気持ちが揺れます。美鈴は清義を救いたい、清義は結城に対する贖罪の気持ちでいっぱいとなる。なにが正義でなにが正解かを観覧者に考えさせるエンディングとなりました。なんにせよ誰も救われない切ない終焉ですね。
タイトルに書きましたが、清義が痴漢冤罪の手引きを大学生になっても引きずり続けていれば、結城が死んでしまうというバッドエンドはなかったでしょうね。思い出したくない過去かもしれませんが、それを忘れて法律家になる選択ってないように思えます。美鈴もなぜ法律家を目指したのが映画では描かれていません。児童虐待という自分の体験からであれば、清義や自身の保身のための犯罪は起こさなかった気がしてなりません。そこは小説だからね、と言ってしまえばお終いですが、そこまで考えてしまう物語でした。
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